任意整理 預り金 弁護士に渡す手数料との違いは何?

任意整理を受任すると、当然ですが弁護士への報酬が発生しますが、それとは別で「預り金」と呼ばれるものがあります。
預り金ですが、日弁連の「預り金等の取扱いに関する規程」に則り、弁護士の横領事件、詐欺事件を防ぐ事を目的に作られているのですが、実際のところはこの預り金とは何なのか??などを規程を引用しながら紹介したいと思います。

預り金とは

弁護士が受任する際に、着手金などの報酬とは別に、事件を受任すると決めた時点で、預り金を事前に用意してもらうようにするケースがあります。
その時は、弁護士の方でも「預り金口座」を用意し、通常の口座とは分けてきちんと管理するようにし、着服したりする事のないようにします。
また、預り金は、実費などに使われる他、任意整理で和解できた際の分割返済の分も用意する事もありますので、毎月の支払をわざわざ金融業者のATMまで行かなくても良かったり、忘れずに済むという点では、とても重宝されます。

預り金にまつわるトラブル

平成23年~24年にかけて、弁護士の詐欺事件や横領事件などが相次いで発覚し、弁護士の信用やモラルについて問われるような事が世間でも賑わっていたのですが、当時は過払い金請求もバブル期の絶頂とも言える時でしたので、勘違いする弁護士も多かったのでしょうね。
しかし、先程も紹介した「日弁連”預り金等の取扱いに関する規程」が平成25年7月作られた事で、預り金に関する目的から会計要領までを明確な基準を示した事で、トラブルの減少にも寄与しましたが、結局のところは法整備は行き届いても、規制がされても、弁護士そのものの信用が問われてしまいますので・・・

  • 相談する先の弁護士が信用をおける人物なのか
  • きちんと事件を処理して、借金問題に一定の目処を付けてくれるのか
  • 任意整理や債務整理の実績が十分で、金融業者と対等以上に渡り合える交渉力があるのか

これらは、最低限でもチェックした上で、受任に至るかどうかを判断する必要があると思います。

 

 過去の債務整理に関わるトラブル事例を一部紹介
【事例1】 弁護士報酬の基準をルール化
2011年4月の「債務整理事件処理の規律を定める規程」ができるまで、報酬額を相談者との間で自由に取り決めれる「弁護士が自分の報酬基準を決めれる立場」にありました。
そのため、不適切な事件処理や報酬の請求が行われましたので、報酬基準をルール化しました。
【事例2】 無料相談からの勧誘がしつこい
多くの事務所では、最初の30分、初回に限り無料相談可としていますが、その時に個人情報を差し出した結果、後日に事務所からの勧誘がしつこく、強引に受任に至ったというケースもあります。
最近では、「匿名相談」もできるようになっている事務所も増えてきましたし、モラルの改善で大幅にはトラブルは減ってきています。
【事例3】 受任後の手続きに対する進捗が判らない
任意整理を進めるという事で、正式に受任に至ってはいますが、その後どうなっているのか、債権者との交渉についても途中経過が判らない、聞いても明確な回答をくれない担当者がいるケースがあります。
ある事務所では、ネットでオンラインシステム化し、進捗状況をチェックできたり、きちんと担当弁護士から説明をする事で、トラブル回避を図るようには改善されてはきているようです。
【事例4】 NPOなどを名乗る団体から電話があり、債務整理を持ちかけられる
過去に某消費者金融が、NPOや弁護士などへ顧客名簿を流出させ、それらの団体が営業電話をしていたケースがありました。
個人情報保護法、コンプライアンスの徹底で、金融業者側も顧客情報の流出が無いように徹底管理がされてきましたし、紹介屋とも言われるNPOなどと結託しての債務整理の受任は「非弁行為」とされていますので、取り締まられています。
【事例5】 受任したにも関わらず、事件を放置していたり報酬を着服していた
弁護士がきちんと事件を受任したにも関わらず、受任後の手続きを放置しており、債務整理が行われていなかったケースもあります。
また、過払い金返還を受ける事ができるケースでも、金額をごまかして、通常返還すべき金額を過小していたケースもあり、債務者の利益が損なわれるようなケースも散見されていました。

 

上記の事件は、あくまで一部の事例ではありますが、いつ自分の身に降り掛かってきてもおかしくありませんし、結局のところ「誰に相談するか」は、とても大切な基準ですから、簡単に決める事の無いように複数の事務所との比較も考えておいた方が良いかと思います。
また、どこで相談して良いかわからないという場合は、当サイトではトップページで、代理人探しのポイントや最短即日から対応してくれる事務所などを紹介していますので、こちらも参考にして頂ければと思います。